会長ブログblog

2011.04.30

七つの水仙

大型連休に入り、ようやく周りの山々も雪と地山の割合いが半々くらいになった。

山の木々の根回りが掘り出されたように雪が融ける様子を「根開き」という。
冬の間寝ていた木が、春が近づくと起きだして水を吸い上げるから雪よりも幹の表面温度が
高くなり周りの雪を融かす現象だ。 いつもより遅い春がようやく訪れ、街のあちらこちらでは
魚沼市の市木「こぶし」の花が満開で、桜もちらほら咲き始めた。  

桜は夏に花芽をつけ、秋から冬の間眠った状態ですごし、冬の寒さが続くと眠りから覚めて
成長を始める、この仕組みを「休眠打破」というそうだ。 雪国で一番早く咲き出す水仙が、
街路樹の下の地面から力強く這い出て白や黄の花をつける。 ブラザーズ・フォーが歌った
名曲「七つの水仙」はロマンチックな詞と優美なメロディーで流行った。

その頃は水仙は今ほど多くは植えられていなかったので、曲から勝手にイメージしていた
のはもっと可憐で貴重な小さな花だと思い込んでいた。 そもそも花の名前などチューリップ
やマーガレットといった学校の花壇に植えられていたいくつかのものしか知らなかった。
花の名前は原産地が外国のせいか、カタカナのものが多い。

今ではパンジーと呼ぶが昔は三色すみれと言っていたし、鉄線をクレマチスという。
そういえば野菜にしても外来種が多いが、カボチャを南瓜(なんきん)とかキャベツの
ことをカンランと呼んだりもした。 昔はあまり見かけなかった物もいっぱいある。
レタスにセロリ、チコリーにズッキーニなど、今では普通にあるが昔は見かけなかった。

最近ではフレンチやイタリアンでなくとも、たまねぎのことをオニオンと言ったり人参を
キャロットなんて呼ぶが、この季節の山菜だけは日本名しか知らない。
うるい、こごみ、蕗、山独活、ぜんまい、このあたりでしか食べないしおでに木の芽。
杏仁子にまたたびなど、外国語には訳せないものばかりだ。

この時季にしか味わえないから価値も高い。 雪国の山菜はエグミが弱く食べやすい。
味噌や醤油との相性も良いが、バージン・オイルやごま油にも馴染むし、木の実との
コンビネーションも抜群だ。 今年も連休後半には山菜をつまみに、桜吹雪の中でグラスを
傾けながら惜春の時を楽しみたいものだ。

足早に4月が過ぎ明後日は八十八夜を迎える、来週はもう立夏だ。


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