会長ブログblog

2010.06.05

麦秋

明日は二十四節季の一つ、芒種。 6月に入り衣更えの時季を迎えた。

昨日は、毎年開かれるコンクリート業界の北陸地区会議のため金沢へ出かけた。
新潟県は立地から、東北、関越、信越、中部、北陸と様ざまな地域ブロックに分けられる。
北は青森、東は東京、西は福井、南は静岡と、組織の活動形態や管轄する役所の所在地
で変わる。 地域が重なる接点は、異文化が交わり文明の発達する場所でもある。

越後湯沢からほくほく線で、右手に日本海を眺めながら特急はくたかに乗る。 
富山県に入って暫らくすると黄金色の田圃が広がってくる、収穫期を迎えた麦畑だ。 
「麦秋」は、小津安二郎の映画のタイトルにもなったこの季節を表わす言葉だ。 
雪の少ない地方では、冬でも農作物を作れるので、麦を収穫した後に米や野菜を植える、
二毛作だ。

雪国の農業は、積雪期に土を休ませる。 そして充分な水を吸収した地面が、春には一斉に
起きだして作物を育てる。 半年寝かせた土からは、おいしい米や野菜が育つ反面、単作で
は農業経営は楽じゃない。 雪国の農業は、効率は悪いが品質は良い。
品質が良ければ高く売れるはずなのだが、ここのところの景気の悪化で売れ行きに翳りが
出ている。 それでも「魚沼コシヒカリ」は、中国や韓国でもブランドになっている。

金沢は北陸の小京都と呼ばれ、加賀百万石の風情を今に残す。 地方の中心繁華街に
〇〇銀座とか、△△通りと東京にある名前をそのまま付けた所は大体廃れた。
その点、全国に点在する小京都と呼ばれる所は、街並みはほぼ維持できている。
小京都と呼ばれるだけに、地域文化に根ざした町並みを残し、歴史を大切にしてきた努力
が窺われる。 古くて懐かしいものに、価値を感じる。

昭和46年の今日6月5日、西新宿に超高層ビルのはしり「京王プラザホテル」が開業した。 
淀橋浄水場跡地を新宿副都心として開発し、超高層ビル群が建ち並ぶ現在の西新宿。
当時、建築技術の最先端は高さを競いどんどん垂直展開した。 今では、品川や汐留など
超高層ビルは珍しくなくなった。 香港やマカオ、上海や台北からクアラルンプールなどアジア
の国々をはじめ、最近では中東のドバイでもタワーが多く建てられた。

こうした街が増えれば増えるほど、ヨーロッパの中低層の歴史的な町並みの価値が上がる。
日本でも、低層で水平展開している古くからの街並みに人々は惹かれる。
そもそも景観を維持するために、高さや色の規制を早くから掛けてきた先見は立派だ。
萩・津和野、角館や高山・・・。 共通するのは、便利さ快適さより景観を優先させ残して
ゆく覚悟が出来ている事。 目指す目的が具体的でなければ、行動は伴わない。

春の海 ひねもすのたり のたりかな  (蕪村)


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