会長ブログblog

2010.06.12

花いちもんめ

流行り廃りの激しい時代に、長く国民的スポーツの地位を保ってきたプロ野球が、ついに
テレビのゴールデンと呼ばれる時間帯から消えた。

野球は他のフィールドスポーツ同様、本来は昼に試合をするものだが、テレビ放映の都合と
ライトアップされた球場の美しさもあって、ナイターが普及した。
昭和40年前後、各家庭にテレビが入るが放送局も少なく、女性はプロ野球にあまり興味は
無かったと思うけど、父権の強い時代でチャンネルの選択権は当然父親が握っていた。

更に、放送会社がオーナーの球団は全試合テレビ中継したから、自然にファンも増えた。
あの頃は、巨人ファンかアンチ巨人かという選択で、パシフィックリーグは良い選手が多い
割りに、ローカル球団のイメージが強く人気は出なかった。 日本の球団は、メジャーリーグ
の名前から付けたのでサンフランシスコ・ジャイアンツから読売ジャイアンツと名付け、
戦時中に読売巨人軍と和名に変えた。 

アメリカで始まったスポーツだが、太平洋戦争中も続いたのでヒットを安打、ベースを塁、
ピッチャーを投手と日本語?に直して呼ぶ事で続けてきた。 そのお陰で打率を%で表示
せず、割、分、厘で表わしている。 今どき割は兎も角、分や厘は他ではほとんど使われず、
パーセントがあたり前になった。 政党支持率が、2割3分5厘などとは言わない。

文化審議会から、初めて常用漢字表の改定案が出された。 追加された漢字は196字にも
上るが、削除された5文字の内、勺(シャク)、匁(モンメ)といった量や重さの単位が消える
のは寂しい。 一合の十分の一を表わす勺は、お銚子の酒の量を表わす時には必要だし、
一匁(3,75g)は、むかしは花の売買の単位で一文銭と5円玉の重さが丁度一匁だ。 
花の売り買いから花街の遊女の値段に喩えて、「買ってうれしい花いちもんめ、まけて悔しい
花いちもんめ」と唄って遊んだ。

JA北魚沼では、魚沼コシヒカリの一合と三合のコンパクトパックを今年から始めた。
今までのキログラム詰めでは、ご飯を炊くときに一合枡(カップ)で計らなければならないが、
合で詰めればそのまま使える。 炊飯釜の目盛りは、当然合表示となっている。
建築の世界でも寸、尺、間で長さを表わす。 昭和34年のメートル法の施行によりメートル
表示が国により義務付けられたが、永六輔が尺貫法の復権を訴えて曲尺や鯨尺を残す
活動を呼びかけ、その結果政府は黙認することとなった。

このようにモノの単位は、重さ、量、長さ、いずれもが生活習慣に根付いた日本独自の文化
と深く関わってきた。 常用漢字表から消えようが、尺貫が残る以上勺や匁は無くならないし
その言葉を使い続けることは、日本の文化を継承する事でも有る。

村境の 春や錆たる 捨て車輪 ふるさとまとめて 花いちもんめ (修司)


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