会長ブログblog

2015.06.06

芒種

6月に入り新緑が眩しく、植えて間もないコシヒカリの苗もしっかりと活着してきた。

晴れれば真夏、降れば春に逆戻りの日々が繰り返される。
今頃の水田は周辺の山々や景色を映し出す水鏡だ。 これからしばらくの間、
一年で一番田圃が美しく見える季節となる。 昼は鳥たちの囀りがパートナー
探しに賑やかだし、陽が落ちるとカエルの合唱が夜更けまで続く。

稲作を中心とした農業は自然環境の維持や、昆虫を始め様ざまな生きものに
恩恵を与える。 かつて農薬や除草剤が多用された時代、一時的にそうした
多面性が失われた事もあった。 下水道が整備されてなかった時代、
炊事・洗濯など生活雑排水を流し水質が悪化した事もあった。

農業用水路がコンクリートに変わった事も生態系に影響を与えた。
水路本来の機能を考えればスムーズに流れる方が良いが、昆虫や水生生物に
とっては棲みにくい環境になった。 それでも水質汚染に比べれば影響は小さく、
下水道が整備されてからは蛍やトンボなど随分と回復した。

ここ数年アメリカシロヒトリによるサクラや果樹などの葉を喰い荒らす被害で、
駆除に追われたが、去年はマイマイガが大量発生し話題になった。
アメリカシロヒトリは名前通り戦後アメリカからの食料支援による小麦や
脱脂粉乳、軍関係の機材に付いて入ってきた外来種だ。

マイマイガは元々北半球に広く分布する種で、日本固有の種も確認
されていて10年位の周期で大量発生する。 人間は蝶は好きな人が多いが、
蛾は嫌いだ。 しかし学問的には蝶と蛾は鱗翅類で同じ仲間だ。
蝶は昼行性、蛾は夜行性の性質が最も顕著な違いのようだ。

翅の文様は木の幹に留まる蛾は同化して地味だし、毒を持つ毒蛾もいる。
そして蛾は蝶に比べ飽食であったり大量発生が多い。
植物を喰い荒らしたり、樹木を枯らしたりもするから嫌われるのだろう。
夜の蝶と呼ばれる職業も有るが、自然界には夜活動する蝶はいない。

わが胸を 夏蝶ひとつ抜けゆくは 言葉のごとし 失いし日の  (修司)


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