会長ブログblog

2014.09.13

堀之内十五夜祭

今年はお盆過ぎから一気に秋めいて、いよいよ会社周辺でも稲刈りが始まった。

この時期、話題は米価の下落により農業所得が大幅に下がっていることだ。
日本一値段の高い魚沼コシヒカリでさえ、大幅に下がり、一俵(60K)あたり
2万円を割る農協の買い入れ価格になっている。 数年前まで2万円後半から
3万円位の値段だったのが3割も下がってしまった。

魚沼コシヒカリは当然の事ながら豪雪地の魚沼地方で栽培される。
魚沼の土と水、そして山あいの田圃ならではの自然環境が良い農作物を育てる。
とりわけ西側斜面の山裾の田圃は、盆地特有の気候で、昼気温が高く日没が
早いため夜は冷える。 一日の温度差が食味に影響を与える。

豪雪地では半年近くの間、雪に覆われているから耕作期間は春から秋の
時期に限定される。 だから雪国では米の単作農業が当たり前で、
作付の出来ない冬期間は関東への出稼ぎしかない時代が続いた。
雪の降る地域と降らない地域とでは、農地の生産性にも大きな差がある。

冬期間には耕作が出来ないから、農業で得られる収入は限定される。
作付から収穫までの期間が5か月以上にも及ぶ米作りは、決して効率の良い
作物ではなく、営農期間が長いという事はその分リスクも大きい。
だからといってその分値段が高くなる訳ではない。

価格を決めるのは品質であり、農作物の場合では食味がすべてだ。
魚沼コシヒカリが日本一の価格になるのは農業生産性が低いからではなく、
美味しい食味が決めるからだ。 日本の農業は米作りが基本で、
耕作を通して大地の恵みを、太陽の恩恵をも、信仰に変えてきた歴史がある。

収穫を祝い、天地を司る神に感謝を捧げる行事が秋祭りだ。
魚沼の収穫祭の締め、越後堀之内十五夜祭りが昨日から始まった。
職人気質の堀之内人らしい、歴史を重んじ伝統を育むお祭りだ。
こうした当たり前のことを伝承してゆく行為そのものを文化と呼ぶ。

帯しめて 祭に行きし少年を 老いて思へば なべて須疑多里  (柊二)


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