会長ブログblog

2014.09.20

秋彼岸入

女優で参議院議員も務めた山口淑子と、作家で作詞家の山口洋子の訃報が届いた。

日本統治時代の満州に生まれ、李香蘭として女優となり、帰国後は山口淑子と
して活躍した。 国際関係が安定しない世界で、多くの人々が時代に振り回され、
昭和の影を背負った自らの体験から思うところが大きかったのだろう。
芸能界を引退し、国家観や平和への思いを政治の舞台で訴えた。

山口洋子の時代は戦後経済成長の著しかった昭和40年代からで、女優から
若くして銀座のクラブ経営に転身したのは経済的な事情だったという。
交友関係の広さから銀座でも屈指の繁盛店となり、そうした経験が作家としての
視点を育て、流行歌の作詞の世界でも一世を風靡した。

彼女の詞は男女関係を歌ったテーマが多く、印象的な別れのシーンを
断片的に繋げては、全体の情景を醸しだす作風が特徴だった。
代表作の「よこはま たそがれ」でも、くちづけ・残り香・たばこの煙とか
ブルース・口笛・女の涙という言葉を繋いで全体像を作る。

戦後、何もかも無くし生きてゆくことで精一杯の時代だったからこそ、
歌や物語が必要だった。 歌も小説も「流行」という枕言葉が付き、
世代を超えた感情の共有だった。 激動の昭和を生きた二人の訃報が
同時に入り、時代の流れを感ぜずにいられない。

今日から秋の彼岸に入る。 23日は秋分の日で飛び石連休になる。
秋分の日は、先祖をうやまい、亡くなった人を偲ぶ日とある。
いつもの年より早い秋の訪れで天候も安定せず肌寒い日々が続いている。
稲刈りの準備は整っても、突然の降雨で作業を見合わせる毎日だ。

山あいには萩の薄紅色をした花が咲いている。 小出公園や道光上原の
コスモスの群れが風に揺れている。 これからは爽やかな秋の日が続き、
果物や木の実そしてキノコなど山里の恵みの時季を迎える。
アマンダレ(ナラタケ)や天然なめこで作るキノコ汁は大好物だ。

♪ 髪に飾ろか くちづけしよか 君が手折りし 桃の花 涙ぐむよな ・・・


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