会長ブログblog

2011.02.05

夢を語る政治

谷川連峰を切り崩して佐渡海峡を埋め、魚沼に雪を降らせなくしよう。

日本海で蒸発した水分が寒気に冷やされ、季節風に乗って谷川連峰にぶつかり雪となる。
魚沼地方はこのメカニズムで雪が降り、全国屈指の豪雪地帯となる。 
雪は大切な資源だが、日常生活への負担と農業や経済活動に不都合な影響も及ぼす。
関東地方では異常乾燥注意報が続き、水不足が生ずる。 

かつて、新潟三区選出の衆議院議員田中角栄は、豪雪と出稼ぎを解消するために、
谷川連峰を切り崩すことを本気で訴えた。 雪国の住民は夢だと思っても一票を託す。
その夢は達成できなかったが、上越新幹線や関越高速道路をはじめ交通インフラの
整備と除雪体制の確立で冬の状況は一変した。

今の政権は政治主導を謳っているが、当時は正に政治主導そのもので政治が行政を
リードしていた。 新潟県の道路除雪の歴史は昭和38年のいわゆる「サンパチ豪雪」に
始まる。 年末から降り続いた雪で中越地方は完全に交通が麻痺し陸の孤島と化した。
生活物資も途絶え、急病人も運べない事態に政治が動いた。

衆議院災害対策委員会の現地視察団の先頭に立った当時の建設大臣・河野一郎の
鶴の一声「邪魔なものは退かせばよい」で本格的な道路除雪が始まった。
国がその責任で国民の生命と生活を守る。 極めて解り易い行動であり、雪国の住民
は政治の力のありがたさを身をもって体験したのだ。

県会議員も北魚沼は2人区で、道路の神様の異名を持つ故高橋虎夫県議と雪博士の
故角屋久次県議。 角屋県議は「雪怨の記」を著し、雪との格闘で生涯を送った。
雪の結晶のデザインを小、中、高等学校の校章に使うことを嫌うほど雪への怨みは
強かった。 遊雪、利雪とか雪の効用なんて言うと叱られたものだった。

こうした先人たちの努力により、今年のような豪雪でも道路は確保され孤立するような
ことはない。 これからの課題は老人世帯や要支援世帯への手厚い対策だろう。
テレビで老人が一人で雪堀りをしている画を繰り返し放送している。 雪国のイメージ
を悪くするのは簡単だ。 雪国の生活が雪のせいで犠牲になってはならない。 

政治家の夢は現実的であってほしくない。 夢の大きさが未来を決める。


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