2016.03.26
各地気象台では標本木のさくらが5~6輪咲くと開花宣言をする。
今週は全国あちらこちらで開花が始まったが、花冷えにより満開まで
には時間がかかるという予報だ。 気象台は梅雨に関しては宣言はやめ、
「入ったとみられる」という表現に変わった。 染井吉野については今でも
開花宣言をするのは春の便りのせいだろうか。
他の花については開花宣言などしないのに、さくらだけは日本人にとって
特別な思いで見られる花だからだろう。 第一に季節がいい。
寒い冬が終わり春が来た事を目から知らせてくれる。 この季節が新たな
物語りが始まる、別れと出会いの時期に被るのも感慨を深くする。
そして何と言っても気も狂わんばかりの豪華な咲きっぷりと、散り際の
潔さが見事だ。 川沿いの土手であったり、公園の遊歩道であったり、
並木を形造るように植栽が施されている。 昼のさくらも良いが、夜桜も
照明に映し出され趣深い風情を演出する。
歌謡曲に似て、見る側の年齢や出来事、時代によっても違って見える。
楽しいさくら、悲しいさくら、希望に満ちたさくら、その時々で見え方も変わる。
還暦を過ぎてからは、今年もこうして花見が出来る事をありがたく感じ
ながら大切な思いで見るようになった。
他の花と違い、さくらの花見だけはお酒がないと始まらない。
五分咲きや七分咲きの少し抑制のきいた花もいいが、見事な満開や
吹雪に例えられる贅沢な散り方もさくらならではだ。
樹の下に仲間が集まり、花を肴に注いだり注がれたり。
「さくらの木の下には屍体が埋まっている」と書いた梶井基次郎。
その位さくらには妖しげな美しさがあり、見る者の心を捉えて離さない。
古くから歌い繋がれてきた歌も多いが、いつの時代でも新しい歌が創られ
必ずヒットするのも、さくらの花が持つ魅力を共有しているからだ。
♪ さくらさくら今咲き誇る 刹那に散りゆく運命を知って さらば友よ ・・・
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