会長ブログblog

2018.05.26

国立代々木競技場

魚沼コシヒカリの田植えが一斉に進み、早苗の入った水鏡が景色を写し出す。

今週24日には尾瀬山開きが福島県桧枝岐村で行われ、今シーズンの安全祈願を
行なった。群馬、福島、新潟三県の入山口の市村が持ち回りで式典を行う。
来年は新潟県の当番だから、奥只見ダムサイトで行われる予定だ。
今年は尾瀬も雪融けが早く、水芭蕉は早くも見ごろを迎えていた。

JR東日本の車内誌トランヴェール5月号、特集は建築とデザインでたどる
「TOKYO1964」だ。新国立競技場の設計を担当する隈研吾が建築家を
志したきっかけは、旧GHQのワシントンハイツ跡地の代々木公園に造られた
丹下健三設計の国立代々木競技場に魅せられてのことだという。

第一体育館は当時としては最先端の技術とデザインで、二本の柱で屋根を吊る
構造により館内には柱や壁など視界を遮るものは一切ない。
第二体育館の突き出た一本柱デザインとのバランス調和は絶妙といえる。
20世紀を代表する近代建築の最高傑作といわれるのも頷ける。

擬宝珠を頂いた八角形の屋根は富士山の裾野をイメージして採用されたという
日本武道館は山田守の設計だ。武道の殿堂であるとともに、江戸城跡地の皇居に
近い立地から環境になじむ和のモチーフが求められたという。八角形の構造は
どの客席からも競技が見やすいという合理性も考慮されたデザインだ。

代々木や九段下、神宮外苑の他に、世田谷の駒沢にも競技会場は造られた。
近未来的かつ日本的な石畳を敷き詰め、樹木をほとんど植えないドライ方式の
駒沢オリンピック公園総合運動場は第二会場として整備された。体育館と管制塔
は仏教建築を思わせるし、寺院の境内のような日本的なデザインになっている。

こうした体育施設の他、新幹線や高速道路など交通施設も整備され、1964年
大会は東京の姿を劇的に変えた。あれから半世紀余り、2020年大会では競技場の
デザインや建設コストなどの話題が先行し、一時政治の道具にされたこともあった。
大会の基本理念を共有し、未来に向けた新たなまちづくりを期待したい。

♪ 夏が来れば思い出す 遥かな尾瀬遠い空 霧の中に浮かびくる やさしい ・・・


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