2012.03.03
3月3日は上巳(桃)の節句だが、魚沼では浦佐毘沙門様の「裸押合い祭」の日だ。
この日は浦佐晋光寺境内の毘沙門堂で、下帯姿の多門青年団の若衆が押し合い、
鈴木牧之の北越雪譜にも著わされている天下の奇祭が繰り広げられる。
沿道には多くの露店が立ち並び縁日を盛り上げる。
中でも地元の皆さんによる屋台の定番「かじっか酒」が人気だ。
魚野川で採った「かじっか」を良く焼き、熱燗の八海山を注ぐコップ酒で、かじっかの
出汁が香りと甘みを出してとても美味しい。 雪に覆われた寒風の中、風味豊かな
熱々の酒を一口啜ると腹の底からじゅわっと沁み渡る。 肴はモツ煮込みか串焼きだ。
かじっかが小さいと出汁が出ないと、大きいとその分酒が少なくなると文句を言う。
かじっか酒は縁日屋台もいいが、やはり浦町の梅野屋さんのが美味い。
焼き方と干し方が丁寧だから、川魚特有の生臭さが全くなく出汁がよく出る。
川魚料理では「入舟」が有名だった。 天然の鮎や鰻を目の前で調理してくれる。
季節には河原での野趣溢れる鮎の会を開き、地元だけでなく遠方からもファンが集った。
魚沼の語源は魚(イヨ)の間だと伝えられているように、川からの恩恵に浴してきた。
人々は古くから川沿いに集落を形成しあらゆる水の恵みを享受した。
狩猟によって生きた縄文時代であっても川からの恵みは貴重だった筈だし、
弥生時代からの農耕文化の発達過程では、水は必要不可欠のものとなった。
水利の有るところに耕地を造り、定住して集落を形成し文化を紡いで生きてきた。
山を治める事を治山といい、水を治める事を治水と呼ぶ。 土木技術はこうした
目的を達成するために発達してきた。 治山や治水は自然との共生を図るための
技術で農業や林業の振興に寄与する土木だ。
これとは別に砂防や水防といった技術は自然災害から身を守るための土木で、
砂防ダムや堤防を築いて危険を回避する、ある意味自然に挑戦する土木だ。
だから治山と砂防は全く別の考えに基づく目的を持った工事だが誤解も多い。
この季節は豊富な雪解け水が大地を潤し、すべての生き物に恵みを与える。
♪ 春よ来い早く来い 歩き始めたみいちゃんが 赤い鼻緒のじょじょはいて (御風)
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