2011.10.29
会社から見る魚沼段丘に沈む夕焼けの色は、刻々と変化しながら鮮やかに燃える。
乾燥した晴れの空には、高積雲が中断に、上空には幾筋かの巻雲が浮かび、夕焼け空
にアクセントを付ける。 程なく夕陽を追いかけるように、金星が輝き出す。
澄んだ空気が秋の匂いを運んでくる。 稲刈りを終えた田圃には刈り取られた切株が
整然と並び、畦だけが草に覆われて、殺風景な景色へと変わる。
つるべ落としというが、ついさっきまで明るかったのに、気が付くともうとっぷりと暮れる。
東日本大震災以降、事務室の照明は出来るだけ点けずに節電してきたが、この季節に
なるとさすがに無理だ。 釣瓶は井戸水を汲み上げるための道具だが、今の子供たち
は井戸を使った事も見た事も無いから、理解出来るだろうか?
言葉は増え続けているが、消えてゆく言葉の数もかなり有るのだろう。 残念なのは、
日本独自の道具や作法にまつわる美しい日本語が消えて行き、カタカナで表す造語が
増え続けていることだ。 造語だから、現代を生きる日本人だけに通じる言葉であり、
外国は勿論だが、日本でも未来の人には通じない言葉となってしまう。
それでも消えて行くばかりでなく、改めて価値が見直され復活する物もある。
そんな物の一つに「雪室」がある。 雪国ならではの食品貯蔵施設で、かつては冬を
迎える前の今頃、家々の裏手に木枠組みの室を作り、周りを断熱材の藁で囲って、
中に大根や人参などの根菜や、白菜やキャベツなどの葉物野菜を貯蔵した。
雪が降って回りが覆われると、雪室になる。 冷蔵庫と違い温度が0~2度程度で安定し、
湿度は100%近い上、振動が無い。 中は光も遮断されるので紫外線による変化も起こ
らず、なんと言っても電気がいらない。 こうした事から、鮮度維持、低温糖化、酸化防止、
分子会合の変化の効果があるという。
今週、安塚の雪だるま財団の伊藤さんの話を聞きに、まちづくり委員会で雪室の視察に
行って来た。 実は雪室を食品産業に取り入れたのは、魚沼のグリーン・ファームが早い。
貯蔵された野菜や酒は、人気が高く、付加価値が上がる。
自然環境を利用した、ここでしか出来ない産業は競争力が強い。
来週はもう11月に入る、冬支度が急がされる枯れた色の時季を迎える。
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