2011.07.09
テレビ朝日系列で毎週日曜日に「大改造ビフォー・アフター」という番組をやっている。
「階段でご飯を食べる家」「玄関がお風呂の家」「転げ落ちる家」などと表現される
かなり問題のある住まいを「〇〇の魔術師」みたいな異名を持つ建築士が大規模に
改造してゆくプロセスを見せる番組で人気が有る。 家を機能でデザインするやり方は
見事だが、最初に問題点を見せておいて解消するから説得力がある。
この手法は結構古くからあり、色白になる化粧品やダイエット器具などは必ずこの売り方
をする。 「百聞は一見にしかず」とはよく言ったもので、説明するより目で見せたほうが
わかり易い。 それにしても出てくる物件があまりにも極端で、ここまでなる前に少しずつ
手を入れておけば生活も楽だったろうにと余計な心配をしてしまう。
どんな事でも、ビフォー(前)とアフター(後)で変わるのは当然だが問題は変わり方だ。
必ず良いほうに変わるとは限らない。 やり方を間違えればアフターが悪くなるケースは
いくらでもある。 問題のある家の場合ほとんどが途中で改造していて、そのやり方が
悪かったために更なる問題を生んでいる。
「裸で庭を駆け抜ける家」「人前で服を脱ぐ家」「お風呂に入ると風邪を引く家」など
水周りに問題のある家も多く登場する。 もともと日本の家は水周りは外にあった。
今のようにバスやトイレやキッチンが家の中にあるようになった歴史は浅い。
土と木と紙で出来た家は火に弱く、火事になると延焼するから外に出した。
特に内風呂は江戸時代までは禁止されていたので、銭湯が発達したと言われている。
長屋の水場で世間話をしながら炊事や洗濯をする場面が時代劇では良く登場するが、
それが当たり前だった。 そうした共同生活の中で、他人への気遣いや守るべき決まりを
身に着けてきたのだろう。
「カニ歩きで入る家」「逃げ遅れる家」「八方ふさがりの家」など動線の悪い家も多い。
こうした家の多くは都会の狭小住宅で10坪~20坪くらいの小さな家だ。
こういう家に限って家具や電気製品が多く、只でさえ狭い生活空間を更に狭めている。
家そのものの問題というよりも、生活の仕方にこそ多くの問題がありそうだ。
昔ながらの生活様式には現代の日本人が学ぶべきものがたくさん有る。
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