2010.03.20
弘兼憲史は脱サラからの漫画家で、団塊世代を主人公にした漫画を描いてきた。
サラリーマン時代の経験から「課長 島耕作」を発表し、部長、常務・・・と出世して最後は社長
までゆく。 ストーリーは大手電気メーカーが舞台で、ビジネスにまつわる様ざまな事件。
会社内部での派閥抗争や取引先とのトラブルの解決、そして必ず出てくる恋愛問題。
それらの話題が同時進行で展開される。
団塊の世代の特徴でもある、必ず今より良い方向へと話は進み、いつの間にか主人公
島耕作に共鳴してゆく。 弘兼憲史の絵は、細かな表情表現が巧く、登場人物の性格が
描写でわかる。 「人間交差点(ヒューマン・スクランブル)」では、ひたむきな主人公の生き方
が読む人へ感動を与え、人気漫画家としての地位を確立した。
仕事もそこそこ順調で、生活にも少し余裕が出てきたが、ふり返って何かやり残した事は
無いか? これから人生の後半へ向けて何をやりたいのか? 現実では起こりえない事でも
漫画なら描ける。 そうだ、もう一度心ときめく「恋愛」がしてみたい、という危うい提案。
40代の終わる頃、同級生からのリクエストで作品のテーマを決めたのが「黄昏流星群」だ。
黄昏れる世代を迎えても、いつも流れる星のように輝きを失わない人生でありたい。
そんな願いが、ストーリーに込められ、ある時は美しく、ある時は切なく、時々は
メルヘンチックに話題が展開されてゆく。 大人の為の漫画という位置付けだ。
そういえば、「ビッグ・コミック」は「ボーイズ・ライフ」からの出発で、読者層の息が長い。
当時の出版社は幼児向けから始まり、小中学生から高校生まで各学年を対象にして
「蛍雪時代」まで続く。 よほど儲かったのか、中学入学時に定期購読すると万年筆がおまけ
に付いてきた。 昭和時代は、若者に人気の流行歌手や俳優の情報を掲載する、「平凡」や
「明星」が出版され、付録の「歌本」目当てで買ったものだった。
広告も、今のように肥満対策など要らなかった時代だから、専ら「頭の良くなるバンド」
とか、「背が伸びる器具」といった、今では完全にNGなモノがほとんどだった。
高校を終えると買う雑誌も、「朝日ジャーナル」や「話の特集」「スイング・ジャーナル」
へと音楽や趣味・思考にそったものに、変わっていった。
社会に出ると「週刊文春」や「週刊朝日」などの、連載やシリーズものが楽しみになる。
今では雑誌の種類も増え、専門的なモノも多くなったが、消えていったモノも多い。
単行本が売れなくなり、出版社も大変な時代となって雑誌は改変を繰り返す。
「ビッグ・コミック・オリジナル」、息の長い漫画雑誌だ。 収められている連載作品は個性的で
長期連載も多く、黄昏てもいまだ流れる星のような輝きを放っている。
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