会長ブログblog

2020.08.29

ローカル線の価値

今週は晴天続きの上、台風8号のフェーン現象により猛暑日が続いた。

今日8月29日は、只見線の全線開通記念日だ。昭和46年、県境を跨ぐ
六十里トンネルを含む大白川~只見間が繋がり、会津若松~小出の全線が
開通した。平成23年に起きた、新潟福島豪雨災害で只見~会津川口間の
線路や鉄橋が複数被災し、復旧工事が進められている。

被災当時、復旧にかかる工事費が多額となること、乗降客が少ないこと、
復旧工事費の公的支援が受けられないこと、などを理由に先行きが見えな
かった。福島県と地元自治体の努力により、鉄道施設は自治体が所有し、
運行をJRに委託する、いわゆる上下分離方式により復旧が進められた。

当初、2021年度中に工事を完了し、その後運転再開の予定だったが、
この程支持地盤による設計変更などあり、工事期間が半年程度延びる事が
発表された。運行再開は早くても2022年後半となる。来年は全線開通
50周年を迎えるし、その2年後には小出~大白川間開通80周年となる。

現在の只見線は1日3往復半で、高校生の通学利用が主だ。運行本数が
限られているため、一般客利用は限定的となる。最近は観光目的や鉄道
マニアの利用と、乗車する事よりも写真に収める撮り鉄が多い。
先月の「キハ40」引退運行には、多くの撮り鉄たちが記録に収めた。

ローカル線の価値の一つに、どこにでもある景色を魅力的な景観へと
変える効果がある。特に電化されていない鉄道は電柱や架線が邪魔
しないので美しい風景となる。魚沼や奥会津の田園風景や山間を走る
只見線キハ110系列車は自然との調和がとても素晴らしい。

国鉄がJRに変わり、経営効率やサービスの向上は計られたが、収益
重視となり、ローカル線は苦境に立たされている。新幹線や山手線、
横須賀線などは稼ぎ頭だろうが、地方ローカル線は何処も赤字路線だ。
景観という価値にお金をかける発想が、わが国には希薄で残念だ。

ふるさとは 影置く紫蘇も桑の木も 一様に寂し晩夏のひかり (柊二)


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