株式会社三友組 新潟県魚沼市の総合建設業

陰翳礼賛

東日本大震災で原発が止まった上、この度の豪雨災害で周辺の水力発電所もやられた。

本流を遮断し堰止めて、水路トンネルで下流に導水し落差を利用して一気に落として
タービンを廻し発電する仕組みだ。 長年に亘り問題なく発電し続けた施設だが今回の
豪雨はその施設を破壊した。 外見で判断する限り、原因は水の力そのものでは無く
水が運んだ瓦礫や樹木のようだ。

大木が幾重にも堰に引っかかって吐き出しゲートを押し曲げてしまったようだ。
こんな大木が流されて来たのだから水量と流速は相当なものだった事が窺える。
魚沼市内には末沢川、破間川、黒叉川、和田川、佐梨川に小規模水力発電所が
数箇所設置されていて和田川を除き被災した。

更に尾瀬を源流とする只見川水系には大津岐、奥只見、大鳥、田子倉、只見と大規模
なダムが続き、阿賀野川の河口に至る下流域には二十数か所の発電所が有る。 
こうした下流域に位置する小規模の発電所の多くが被災し発電できない状態だという。 
結果、当初電力不足が心配された東京電力よりも東北電力の方が逼迫している。

今月号の「CASA BRUTUS」で谷崎潤一郎のコラム「陰翳礼賛」が紹介されている。
日本家屋での日常の生活空間の暗さに価値をみつけている。 自然光の良さを讃え
電気照明の不粋を嘆く。 障子紙や襖の質感、厠の在り様、茶室の亭主の位置など
明るさ暗さにこだわった美しい文章表現に圧倒される。

「玉のように半透明に曇った肌が、奥の方まで日の光を吸い取って夢みる如き
ほの明るさをふくんでいる感じ、あの色あいの深さ、複雑さは、西洋の菓子には絶対に
見られない」・・・「あれを塗り物の菓子器に入れて、肌の色が辛うじて見分けられる
暗がりへ沈めると、ひとしお瞑想的になる」 羊羹の一節だ。

こんな文章に接すると適度の暗さが物の質感を見る感性を育てる事が分かる。
私たちの生活が夜でも明るくなって、とても便利になったのは事実だ。
目の不自由な人は音や風、匂いや雰囲気で風景を見るのだろう。
そこに見える風景は、私たちより深く真実を見ているのかも知れない。
 
今、足りないのは電気の量ではなく、生活を楽しむ姿勢だろう。

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