会長ブログblog

2017.08.19

待つと惜しむの美学

♪ 夏が過ぎ風あざみ 誰のあこがれにさまよう 八月は夢花火 私の心は ・・・

お盆休みの期間中、天候が不安定でほゞ毎日雨が降っていたが、来週半ば
からは回復し夏らしい暑さが戻ってくるという予報だ。 長かった夏休みも
終盤となり来週末には小出まつりを迎える。 振り返れば今年の夏も一時の
躊躇もなく足早に通り過ぎてゆく。

来週(一社)日本カレンダー暦文化振興協会の総会で日本美術研究家で
学習院大学教授の佐野みどりさんが記念講演を行う。
演題は「待つと惜しむの美学 日本美術に見る季節」なんと魅力的な
題名だろうと想像が膨らむ。

花鳥風月が描かれた日本画を通じて四季や季節の行事、時代背景などを
解説される。 季節を待ち、季節を惜しんで送る私たちの一年を日本画家
の画風から読み解く。 春は待ち遠しい上に過ぎ行く花の季節は惜しまれる。
同様に夏もいつも期待と共に始まり、寂しさを残して過ぎてゆく。

秋にしても名月や紅葉はその時限定の趣であり、雪景色の美しさも又、
雪国でなければ味わえない。 兼好法師の徒然草に「花は盛りに、月は
隈なきをのみ見るものかは」という件があるが、花は満開、月は満月だけを
味わうものだろうか?  花の散り際、月の傾くを慕う、とある。

季節の訪れを待ち、過ぎ行くさまを惜しむことは一年の歳時記でもある。
二十四節気や七十二候という期間の区切りは季節感を表すとともに、
太陽と地球の位置関係により決められる壮大な仕組みでもある。
私たちの生活はカレンダーや暦によって時間の流れが共有される。

四季のはっきりしたこの国では待つことと惜しむことで1年が巡る。
花鳥風月の移ろいや、雪月花の艶やかさの中で私たちは暮らしている。 
限られた時間だからこそ、その時その時をありがたく感じながら二度と
来ない今を大切にしてゆきたい。

年々歳々、花相似たり 歳々年々、人同じからず (唐詩選)


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