2011.11.19
一昨日、11月第3木曜はフランス・ワインの新酒ボージョレー・ヌヴォーの解禁日だ。
今ではワインは一般的な飲み物になり、ちょっとした居酒屋や小料理屋でも当たり前に
置かれるようになった。 ボージョレー・ヌヴォーの解禁日が近づくと、酒屋さんの店頭に
「予約承ります」の張り紙が出るし、24時間営業の店やコンビニエンス・ストアーでは
午前0時を待って販売するところまで有る。
解禁と言う事は、それまで禁止されていたものが解かれるという意味だから、特別な
価値を生む。 何故それほどまで厳格に発売日を限定するのか? 発祥は今年の葡萄の
出来具合を試すための試飲だったというが、一説では速さを競うあまり未熟成のワインを
出荷してしまい、評判を落としたからだそうだ。
今では試飲というより、新酒そのものを楽しむ事が目的になっていて、この日しか
ワインを飲まない人も居るくらいだ。 それも日本だけでなく、世界中の人々がこの
新酒祭りに参加するのだからすごい。 何れにせよ、我先に予約までして早期醗酵
させたワインが売れるのだから、人気の程が知れよう。
ビールは喉越しで飲み、ワインと日本酒は蘊蓄(ウンチク)で飲めという。
色あい、味わい、香りなどで品評したり好みを探すが、品質だけでなくその酒にまつわる
ストーリーが重要だ。 日本酒は製造法で本醸造とか吟醸とか原酒などに分けられるが、
ワインは製法より、葡萄畑やシャトー(ワイナリー)により等級に差が出る。
ウイスキーやブランディー、焼酎など蒸留酒は長期保存する事で風味が増し、価値も
上がるが、日本酒やビールそれにワインなど醸造酒は時間を置けば劣化する。
例外が長期熟成向けに造られた、ボルドーやブルゴーニュに代表される特級酒だ。
樽の中でなく、壜に詰めてゆっくりと変化させるのだから管理状態も重要になる。
テレビで4~5千円のチリーと、10万円もするボルドーを飲み比べて銘柄を当てさせる
番組が有るが見事に外す。 外した人は味覚だけでなく、人格まで疑われてしまう。
そもそも酒は趣向品と言うくらいで、値段や銘柄で価値が決まるものでは無く、好みで
飲むものだ。 同じワインでも、温度やグラスで風味に格段の差が出るのも面白い。
一本のワインボトルの中には、全ての書物にある以上の哲学が有る。 (パストゥール)
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