会長ブログblog

2011.02.19

完成しない街

赤煉瓦の東京駅の改修工事が始まったのは何年前になるだろう?

丸ビルが新築され、新丸ビルや東京ビルディングも建て替えられた。 グラントウキョー
ツインタワーの工事も進んで大丸も新しくなったが真ん中の部分は未だ工事中だ。
東京駅を改修保存する費用約500億円を、空中権(建物の上の空間)の近隣への譲渡
で捻出した結果、駅の周りは100m以上の高層ビルになった。

汐留や品川も高層ビルが建ち並びすっかり風情を変えた。 汐留の電通ビルから見る
浜離宮は小ぢんまりとした緑地帯にしか見えない。 汐の干満で趣きをかえる庭園を
持ち、建設時あんな高い処からお隣に見られることは想像もしなかったはずだ。 
ここ数年の開発トレンドは、東京湾ウォーターフロントに集中している。 

交通インフラでは、羽田空港は滑走路の増設で国際線が乗り入れる日本初の24時間
対応の空港として生まれ変わった。 40年前には、旧営団地下鉄の路線は、銀座・
丸の内・日比谷の三路線に都営が二路線くらいだった。
今では地下鉄の路線網もさることながら、技術革新により大空間地下開発も進む。

高さ634mで、自立式鉄塔では世界一になる東京スカイツリーも毎日伸びている。    
今年末の完成に向けて日々風景を変えてゆく、今しか見れない景色だから見学客が
絶えない。 映画「三丁目の夕陽」では変わりゆく街の様子を工事中の東京タワーの
画が象徴的に表していた。 

東京は何時も何処かで生まれ変わっている。 上海やソウルの変貌振りに驚いている
日本人が足元の東京の変化はあまり気にしてない。 街の風景をフレームで捕らえると
必ず工事中のフェンスやタワークレーンが目に入る。 未だかつて完成したことの無い
街が東京だ。 永遠に終わりの無い、進化し続ける街が東京だ。

一方で下町情緒が残る上野、浅草や日本橋界隈の変わらない街並み。 
東京の魅力は江戸の歴史と伝統を代々守ってきた部分と、新たな都市開発が混在して
お互いの魅力を対比させるところにもある。 地方の街は規模が小さく、用地確保が容易
な分そっくり造り変えてしまうから、歴史的に価値の有るものも残りにくい。

♪ 東京の屋根の下に住む 若い僕らはしあわせもの 日比谷は恋のプロムナード・・・


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