会長ブログblog

2016.12.03

革命の父

時雨れた翌朝、晴れ渡ると里山の雪化粧が高度を下げ越後三山の白さが増してゆく。

ラヂオから流れるクリスマス・ソングが、既に師走に入ったことを知らせてくれる。
日に日に夕暮れが早くなり雨模様だと昼でも薄暗く、寒さも手伝って寂しい時季を
迎えている。 真っ白な雪景色に覆われる前の時間が静かに流れてゆく。
忘年会疲れで体調も優れないが、来週も連日年忘れの会が続く。

2020東京オリンピックも、施設建設をめぐる価格の話や競技会場の変更に
まつわる報道により、開催地決定時のような興奮や期待感は日々失われてゆく。
築地市場の豊洲移転問題にしても解決策を出して1日でも早く前に進む話ではなく、
過ぎた過去を掘り返しては犯人を捜すような話しか聞こえてこないのは残念だ。

紀行作家で雑誌「旅」の編集長だった元JTBの岡田喜秋が「四季ある国の喜び」と
いうエッセイで、南北に長い日本列島の素晴らしさを讃え、同じ島国でも東西に
長いキューバでなくて良かったと書いていた。 キューバは東の果てから西の果て
まで緯度が変らないから季節が無いというのである。

そのキューバのフィデル・カストロ元議長が90歳の天寿を全うした。
チェ・ゲバラと共に社会主義革命を成し遂げ、国民の英雄として長く君臨した。
カリブ海に浮かぶ小さな島国が東西冷戦のシンボルとして長い間アメリカとの国交を
閉ざしてきた。 昨年歴史的和解を行い、新たな時代の幕を開けた事は記憶に新しい。

キューバといえば1959年の革命から時間が止まったようなハバナの街の景色が
魅力だ。 50年代のアメリカ製自動車が現役で走り、スペイン統治時代に造られた
街並みが姿を残す。 ラテン音楽やレゲエ、ヒップホップなど音楽も人気だし、
アメリカの文豪アーネスト・ヘミングウェイが愛し滞在したことでも有名だ。

最近では90歳を超える高齢者音楽隊の活躍をヴィム・ベンダースが映画化した
「ブエナビスタ・ソシアルクラブ」で、明るく人生を楽しむキューバ人気質を良く
表現していたし、音楽も流行った。 フィデル・カストロとチェ・ゲバラの時代が
往き、又新しい時代が始まる。 20世紀の偉大なる革命家のご冥福をお祈りしたい。

いと静かに ものをぞおもふ山白き 十二月こそゆかしかりけれ (牧水)


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