2009.12.12
携帯電話の加入数が、1億1千万件を上回って、ほぼ一人に一台の時代となった。
便利な時代となり、連絡が直ぐに付くから、約束の時間や場所の確認は何時でもできる。
運命のいたずらによるすれ違いや、待てども来ない恋人との間に生まれる不信感が、
ドラマを構成していたストーリーは、もう展開しない。
電話では言えないことが、メールなら伝えられるのも携帯の特徴だ。
着信履歴や送信履歴をみれば、今日一日のやり取りがよみがえる。
メールならそのまま送受信が残るから、より具体的だ。
ポケットや手のひらに納まるから、「ポケデン」の方が愛称としては適切と思うが、
今から20数年前に出たときは、肩にかける弁当箱のような形でショルダーフォンと
呼んでいたのと、「ポケベル」があったので「携帯電話」のままだ。
昭和30年代、電話の有る家は珍しく、魚沼では電話の有る家にかかってから
呼び出してもらうのが普通だった。
それだけ貴重な電話だったから、今では結婚式とお葬式くらいしか使われない電報が、
当時では、一般的な連絡方法だった。
悲しい知らせも、うれしい知らせも電報配達員が直接手渡す。
各集落には、そのことを仕事としている人が必ずいた。
魚沼市は合併後、毎年500人以上の人口が減り続けている。
高齢者が亡くなり、若者が流出しているが、生まれてくる子供が少ないから減少する。
反して、世帯数は減っていない。 それだけ、一人暮らしの世帯が増えている、
それも高齢者の一人世帯が、増え続けている。
一人暮らしだから、世代間の交流も、親子の会話も無い。
コミュニケーションを助ける道具、電話やインターネット等が飛躍的に発達したが
ふり返ると、皮肉にも人と人との交流がだんだん薄くなっている。
こうした現象は、テレビが普及する時にも起こったが、当時番組も少なく話題は共有できた。
レコードがCDになり、iPODに変わろうとしているが、アルバムへの思い入れは
デジタル化と共に薄らいできた。
先週末、年に数回やる高校時代のミニ同級会が、いつものメンバーで行われた。
入りの悪いラジオの深夜放送と、レコードで育った世代だ。
話題が一巡すると、誰ともなく欠席の同級生に電話をかけはじめる。
一つの携帯を順番に廻しながら、今日参加できなかった事情と、
せめて電話で挨拶を交わそうとする義理堅い声が返ってくる。
人と人をつなぐ便利な道具、使い方次第で可能性は拡がる、主役は人間だ。
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