会長ブログblog

2020.10.24

自立した社会

♪ 夕空晴れて秋風吹く 月影落ちて鈴虫鳴く 想えば遠し故郷の空 ・・・

晴れた夕暮れにはきれいな夕焼け空が出現する。蜜柑茶から桃色、そして赤へと
変ってゆく西の空はこの時季特有の美しさだ。夕焼け空の進行時間が速いのも
秋の特徴だ。夕闇が迫る中、カラスの群れが家路を急ぐ。気が付けば南西の空に
上弦の月がポッカリと昇ってくる。赤茶けた火星が東から追いかけている。

魚沼市には我が国を代表する紅葉の名所、銀山平・奥只見と破間渓谷がある。
今週末から来月初旬が見頃を迎える。温暖化の影響か、奥只見のダムサイトは
嘗て11月3日の文化の日が最終営業日で、4日から冬囲いをして山を降りる
のが通例だったが、最近は11月の第2日曜くらいまで、営業が伸びた。

JR只見線は、旅行読売や日経プラス1で紅葉の美しいローカル線ランクで
NO1に輝いた路線だ。この季節、紅葉の盛りに臨時列車やイベント列車も
走り、乗り鉄や撮り鉄で賑わう。何処にでも有りそうな山あいの景色が、
紅葉の中を往くローカル列車により、一枚の絵のような景色に変わる。

昨日10月23日は中越大震災から16年目の日だった。16年という時間は、
今の高校生以下にとって、生まれる前か記憶に無い過去の出来事となる。
震災の記録と記憶を語り繋ぐために、毎年この日の夕刻、1本はみんなのため、
1本は自分のために、ローソクを2本灯し、災害の無い安全な地域を願う。

しかしながら、災害の記憶を語り繋いだり、安全祈願が、防災・減災にどれだけ
寄与しているか考えると心許ない。人口減少と高齢化は我が国の地域社会が今まで
通りには成り立たない事を示している。公的支援だけで乗り切るには、大きな
財源が必要となる。高齢者の一人暮らしでは、自助にも限界がある。

魚沼市もそうだが、人口減少が進む社会ほど公的依存度が高くなるが、医療・福祉
は公がやると最もコスト高になる。財政が脆弱な地方自治体ではすぐに破綻する。
人生80年時代の幻想を捨て、100年時代を幸せに過ごすために、人々が助け合い
自立した地域社会を築く。それは少し前まではわが国では当たり前の姿だったはずだ。

秋は夕暮れ 夕陽のさして 山の端いと近うなりたるに 鳥の寝どころへ(枕草子)


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