会長ブログblog

2020.07.18

荒野の用心棒

ひさかたの 雨のふる日をただ独り 山辺に居ればいぶせかりけり (家持)

このところ梅雨本番の曇天続きで、明るい太陽の顔をしばらく見ていない。
小出辺りから見る八海山の残雪はほゞ姿を消し、例年、立秋前後まで残って
いる越後駒ケ岳や中ノ岳も、今月中には完全に消えてしまいそうな状態だ。
今冬の異常小雪により、山の粧も例年とは違っている。

先ごろ、イタリア映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネの訃報が届いた。
幼馴染のセルジオ・レオーネ監督作品「荒野の用心棒」「夕陽のガンマン」は
私の中学生時代だった。当時、レコードは高価だったため、ナイロンで出来た
フォノ・シートという、廉価盤レコードが流行った。

映画音楽は2~4枚組のブックスタイルが主で、当時のフランス映画やイタリア
映画などの新作も次々フォノシートで発売された。モリコーネは元来、血生臭い
映画は好まなかったが、皮肉にも死闘劇のマカロニ・ウエスタンや、パゾリーニ
監督の「ソドムの市」とか「デカメロン」などの音楽も担当している。

1989年公開のジュゼッペ・トルナトーレ監督「ニューシネマパラダイス」は
名画として評判高いが、音楽も重要な要素となっていた。イタリアの映画音楽と
いえばもう一人、ニーノ・ロータがいる。フェデリコ・フェリーニ監督作品の
「道」「甘い生活」「81/2」「カプリコーン」「フェリーニのローマ」・・・

ルネ・クレマン監督、アラン・ドロン主演の「太陽がいっぱい」では抒情的な
旋律で一世を風靡し、フランコ・ゼフィレッリ監督が1968年に撮った
「ロミオとジュリエット」も大ヒットした。そして、1972年公開の
フランシス・フォード・コッポラ監督の「ゴッド・ファザー」シリーズも。

映画音楽がミュージック・カテゴリーで上位を占めていた時代でもあった。
映画と音楽がその時代を思い起こさせてくれる。今でも年間相当数の映画を
見るが、音楽が記憶に残る映画はアニメ作品の主題歌くらいだ。
ニーノ・ロータやエンニオ・モリコーネが活躍した頃の映画音楽が懐かしい。

花の色は移りにけりないたづらに わが身世にふるながめせしまに (小野小町)


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