2020.03.14
今週から始まった大相撲春場所は、史上初めての無観客での開催となった。
観客無しでも行なえるのは、テレビやラヂオで世界中に中継されるからだ。
大相撲のラヂオ中継は昭和3年の初場所から始まったという。立ち合い迄の
制限時間はそれまでは無かったが、幕内は4分、十両3分、幕下以下2分
以内の制限時間は、番組放送時間の都合で新たに設けられた。
土俵周りに勝負審判と呼び出ししかいない画面は奇異だが、取り組み自体は
何時もの場所とそう変わらない。今場所も、朝乃山が大関昇進を決められるかが
一番の注目だ。休場明けの両横綱の状態がどうか。炎鵬がどんな相撲を見せて
くれるか。そして、新潟出身の豊山が三役昇進への道を拓けるかなど。
無観客なのにNHKの中継は、いつもと同じ実況を、変わらぬ解説者で行っている。
少し工夫して、解説の人数を多くし、顔ぶれも舞の海を中心に、デーモン小暮、
やくみつる、能町みね子、内館牧子などが、それぞれ個性的な解説をすれば
面白いと思う。スタジオにファンを集めて、応援してもらうのも良いだろう。
しかし、相撲が興業である以上、観客がいないというのは盛り上がりに欠ける。
人気力士が登場すると、ファンの声援で場内が賑やかになり、立会に向けて
徐々に緊張の度合いが高まる。熱戦には惜しみない拍手が起こり、観客が
一体となって場内の雰囲気を創るから、入場料を払って見に行く価値が有る。
大相撲に限らず多くの芸能やスポーツは、観客が居ることで成り立っている。
コンサートしかり、演劇しかり、とりわけ落語や漫才ともなれば、ほとんどが
演芸場からの中継だ。お客様の反応が無ければ成り立たないのが芸能だ。
ジャズの名盤にライブ録音が多いのも、聴衆が演奏を盛り上げるからだ。
ジャズといえば、このほどマッコイ・タイナーの訃報が届いた。数々の名盤を
リリースしたインパルス時代の、ジョン・コルトレーン四重奏団のピアニストだ。
時に強烈にリズムを叩き、時にエモーショナルにメロディーラインを奏でる。
′60年代からのモダーン・ジャズ・シーンを、マイルスと共に牽引していた。
かかげても しめりがちなるともし火に 音なき春の雨を知るかな (一葉)
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