会長ブログblog

2010.10.09

エンドレス・ディスカバリー

♪ 知らないまちを 歩いてみたい どこか遠くに行きたい 知らない海を ながめていたい・・・

国鉄による旅行キャンペーン、「ディスカバー・ジャパン」は1970年10月に始まった。
電通がプロデュースを担当し、テレビでもテーマ番組「遠くへ行きたい」の放映が始まる。
ノーベル文学賞に輝いた川端康成の受賞記念講演から「美しい日本と私」というサブテーマ
が付けられ、個人旅行が本格的に始まった。

1970年といえば、日米安保闘争やよど号ハイジャック事件が起きた年だ。
最も衝撃的だったのは三島由紀夫の市ヶ谷事件。 ビートルズが解散した年でもある。
価値観の多様化が始まり、藤圭子や渚ゆう子も流行ったが、トワ・エ・モアやベッツィ&クリス
もいた。 それでも一番ヒットしたのは皆川おさむの黒猫のタンゴだった。

この年は大阪万博が9月まで開催され、高度経済成長に沸く国民の旅行熱を刺激した。
雑誌片手の「アン・ノン族」が、日本(自分)再発見の旅に出た。 美しい日本の発見だから
それまでの観光地めぐりから、萩・津和野、妻籠・馬籠などに目的地も変わっていった。
この成功が、その後78年からの「いい日旅立ち」へとつながって行く。

あれから40年の歳月が流れ、国土交通省の観光戦略「ビジット・ジャパン・キャンペーン」
(VJC)の今年のテーマは「ジャパン・エンドレス・ディスカバリー」となった。
旅に出ると何か新しい発見があるという意味だろう。 或いは40年経ってもディスカバー
がテーマということは、見つかる筈の無いものを探し続けるのが、旅なのかも知れない。 

国鉄は民営化されJRと名前を変えた。 その後日本は高速鉄道の時代に入り、全国に
新幹線網を築いて便利な時代になった。 しかし、新幹線による高速移動では探しものを
見つける手がかりさえも窓の外に消えてゆく。 只見線など、ローカル線回帰は人々が
忘れてしまった大切なものを探すことが出来るスピードだから、かも知れない。

在来線の魅力は、音にもある。 車輪とレールの繋ぎ目が作るガタッゴト・ガタッゴトとリズム
よく刻む音は列車でしか味わえない。 リズムの刻みが次第にゆっくりとなり、引き込み線に
入る軋み音がすると終着駅が近づいてくる。 踏み切りや鉄橋、トンネルではどこか寂しげな
音色をした汽笛が郷愁をさそう。

♪ いつもいつも 通る夜汽車 静かな 響ききけば 遠い町を 思い出す・・・


カテゴリー:会長ブログ

タグ:

お問い合わせconatct