会長ブログblog

2022.01.15

小正月

今日1月15日は小正月。かつては鳥追いや塞ノ神を行う大切な日だった。

成人の日が第2月曜に変わり、塞ノ神も地域住民の都合で、バラバラな
日に行われるようになった。鳥追いは既にその姿を見る事も無くなった。
成人の日は江戸時代の元服からの名残りだと聞いたことがあるが、制定
されたのは昭和23年で、戦後復興期の若者を励ます行事からだという。

だから、成人の日と小正月は直接は関係ない。しかし、15日という日
には意味がある。お盆もそうだがいわゆる旧暦の時代、15日は十五夜で
満月に近い日となり、夜でも明るい事が重要だったと思われる。
現在の太陽暦では、15日は月齢とは関係ないのでその日に意味は無い。

特に雪国では、14日の晩に雪で造ったかまくらで、餅を焼いたりカルタ
取りをしたり、子どもたちには欠く事の出来ない楽しみだった。固く捏ね
上げた雪玉で硬さを競った「シシッコ」や「ドッタン」と呼ばれた雪道の
落とし穴など、他愛のない遊びがたくさんあった。

そうした遊びが出来たのも、15日が祝日だったから前夜に夜遊びが
許されたからだ。祝日でその出自に特別な意味がない日が第2月曜に変わ
ってしまったが、成人の日は別な意味で意義のある日だったといえる。
さらに言えば、第2月曜では正月休みから近すぎてありがたみが薄れる。

正月早々神田神保町にある「岩波ホール」が今年7月29日で閉館する
という発表が有った。‘74年から始まった「エキプ・ド・シネマ」で、
「大樹の歌」「惑星ソラリス」「家族の肖像」「木靴の樹」など、アジア・
ヨーロッパや「宗家の三姉妹」「山の郵便配達」などの名作を上映した。

新宿アートシアターが姿を消してからは、唯一無二世界中から良い作品を
選び上映を行ってきた。今では渋谷「ユーロスペース」や「ポレポレ東中野」
など単館系劇場も出来たが、始まりは岩波ホールで、1作品長期上映が
ありがたかった。また一つ価値あるホールが姿を消すことは寂しい限りだ。

幾山河越えさり行かば 寂しさの終てなむ国ぞ 今日も旅ゆく (牧水)


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