会長ブログblog

2024.05.11

田植え日和

♪ 卯の花の匂う垣根に 時鳥早も来鳴きて 忍音もらす ・・・ 

耕起された水田に水が張られ、この時季でしか見られない景色を
美しく写す水鏡となっている。近年夏の気温が高く、出穂期の
8月初旬以降、35℃を超えるような猛暑日が新潟県でも頻出
するようになった。昨年も降雨が少なく高温が続いた。

その結果、平場のコシヒカリは軒並み1等米比率が下がり価格
に影響を与えた。丹精込めて育てても、気象条件により品質に
影響が出る。農作物はそうした自然環境により出来不出来が
決まるから、古来より神に祈りを捧げ豊作を祈願した。

神社の注連縄や紙垂は雷を現すと習った。現在のように科学
肥料のない時代、有機肥料を使っていたが、空気中に存在する
リンやチッソといった養分は夕立により田畑を潤す。
だから、夕立の象徴である雷は科学的にも豊作の条件だった。

更には必要以上の気温上昇を抑え、昼夜の温度差を生むことで
美味しい農作物が育てられる。かつて、魚沼地域は冷害による
不作が多かったが、最近は高温被害が多くなり、むしろ山間
農地の方が収量は少ないが良質の米が採れるようになった。

新潟県はコメの出荷量日本一の上、魚沼コシヒカリは食味でも
日本一の米だ。近年、東北や九州の米も食味でも評価されるが
魚沼の混じりっけ無しの本物を食べるとやはり違うと言われる。
高温被害を避け、田植え時期を調整し美味しい水で育てられる。

例年にない今冬の小雪により、越後三山の残雪が極端に少ない。
まだ5月上旬なのに、三山の山肌は黒が目立つ。心配されるのは
夏場の水不足だ。豪雪地魚沼は積雪期の半年近く耕地を休ませ、
豊富な水資源が良い農作物を育てたが、天候は神に祈るしかない。

真昼の日 そらに白みぬ春暮れて 夏たちそむる 嵐のなかに
                         (牧水)


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