株式会社三友組 新潟県魚沼市の総合建設業

梅雨入り

♪ あした浜辺をさまよえば 昔のことぞ忍ばるる 風の音よ雲のさまよ ・・・

春の海は穏やかでキラキラと輝く光の海だ。 例年この時期、北陸での会議が
あり北陸線に乗る。 来年の3月以降は北陸新幹線が開業し、特急北越や
はくたかは廃止になる。 高架橋とトンネルが連続する新幹線になれば、
時間は短縮されるが風情は消える。

海岸線の風景の一部になっている小さな駅舎や、海水浴場の砂浜に沿うように
造られたプラット・ホームの景色も遠くに霞む。
そんな感傷に思いを寄せるのも、新幹線開業で得るものと失うもの、両面がある
ことを忘れたかのような、待望論一色の世論に危うさを感じるからだ。

私たち日本人は時間に対してお金を払う事を当たり前と思っている。
だから鉄道や道路でも新幹線や高速道路があれば躊躇なく利用する。
時間という限られた価値に対価を払う事に違和感はない。
上越新幹線が開業して東京まで行くのに2時間かからなくなった。

東京に用があっても宿泊することがほとんど無くなり、200kmの移動は
日帰り圏になった。 その便利さと引き換えに、旅することの趣や沿線の
生活文化、地域独特の言葉や暮らしぶりが垣間見える風情を感じる事が
なくなってしまった。

上越線時代には湯檜曽や水上、沼田、渋川そして高崎に着けばだるま弁当や
とり飯弁当で空腹を癒やし、行田、熊谷そして深谷はネギの産地だったりする
ことが車窓から容易に感じられたものだった。 大宮を過ぎるとビルや家並みが
途切れる事が無くなり、東京圏に入った事は視界から分かった。

鉄道でも道路でも、時間の流れをゆっくりと感じる旅は景色を楽しむ旅だった。
北陸線の美しい海岸線や、日の長いこの時期、暮れ泥む時間のゆっくりとした
流れに身を置いて、北陸新幹線の開業に湧くその陰で、誰にも知られずに
失われゆく物語は数知れない事だろう。

♪ ゆうべ浜辺をもとおれば 昔の人ぞ忍ばるる 寄する波よ返す波よ ・・・

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