会長ブログblog

2013.10.05

レフト・アローン

♪ 泣いてくれるな 流れの星よ 可愛い瞳によく似てる 想い出さすな ・・・

澄んだ空気と共に10月に入り、いつまでも夏の郷愁に浸ってはいられない。
雲の形や夜空の星屑が秋の訪れを教え、盛りを過ぎた季節が静かに冬へと
還ってゆく。 季節は4つの個性を際立たせながら巡る。 夕暮れの早まる今頃に
なって、克美しげるの訃報が届いた。 今年2月の事だったという。

「さすらい」で紅白歌合戦にも出場した歌手の最期にしては、あまりにも寂しい。
デビューからの活躍が華々し過ぎたから、身勝手で衝撃的な殺人事件を起こした。
晩年は不遇の時間を過ごし、覚醒剤にも溺れた。
あの時代、身を持ち崩すのは女も男も一緒だった。

昭和38年、桑田次郎の「エイトマン」がテレビ放映されると「シガレット・チョコ」が
良く売れた。 タバコを喫うことで体をコントロールする、今ではあり得ない設定だ。
事件が起こると、私立探偵東八郎からエイトマンに変わる、変身物のはしりで
主題歌を歌った克美しげるの声は、明るく伸びやかで時代に合っていた。

スポンサーは丸美屋食品で、「のりたま」はどこの家の食卓にもあった。
エイトマン・シールがおまけで入っていて、シールを集めて下敷きや帳面に
貼るのが流行った。 おまけといえばグリコだが、今でも子供たちはあの小さな
ソフト・ビニール製のおもちゃで遊んでいるのだろうか?

駄菓子屋さんやおもちゃ屋さんが街から消え、コンビニに便利を買いに行く。
個性を失った売れ筋商品が、どこの店頭でも同じように並ぶ。
同じ言葉を話し同じ格好をした店員が、渇いた挨拶で応対する。
そして、そうしたコンビニは今日も増え続けている。

克美しげるがあの時代、何故あのような生涯を送らなければならなかったのか?
暗く辛い半生だったろうが、それでも生きた足跡が、良くも悪くも人間らしい足跡が、
消えることなく残ってゆく。 克美しげるよ永遠なれ。
今日は新月、輪廻転生の象徴だ。 

♪ 光る海 光る大空 光る大地 行こう無限の地平線 走れエイトマン ・・・


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