会長ブログblog

2012.12.15

小沢昭一的こころ

例年より半月も早くクリスマス寒波のような降雪となり、本格的な冬景色に変わった。

雪国に生きる者にとって覚悟はできているが、それでも降り続く雪に天を仰ぐ。
季節の進み方には一定の時間経過が必要で、早すぎても遅すぎても混乱が生ずる。
今頃から真冬の寒波が下がり、西高東低の気圧配置が続いて、除雪作業で難儀する
住民に選挙カーからの連呼が虚しく響く。 

楽器のなかで、最も哀調を帯びた音色を出すのはハーモニカだろう。
吹いたり吸ったりで、ド・ミ・ソとレ・ファ・ラの長調と短調のハーモニーが哀愁を醸す。
人の生き方でも、それぞれの雰囲気を漂わせて個性を形成くる。
ハーモニカ奏者で多能な文化人、俳優小沢昭一の訃報が届いた。

どんな役柄でもこなせる脇役だけど、独特の演技が光って主役よりも印象が深い。
TBSラヂオの「小沢昭一的こころ」は、放送回数1万回を超える人気番組だった。
永六輔や野坂昭如には独特のダンディズムがあるが、小沢昭一が市井の一市民の
可笑しくてやがて悲しい芸風を貫いたのは、師である千田是也の影響か。

私が小学校の頃は毎年ハーモニカ・コンサートが行われた。 おじさんが一人で
やってきてお馴染の唱歌を演奏する。 学校で初めて習うメロディー楽器だし、
最も身近でポケットに収まる大きさだから、何処へでも持って行ける。
かつては人々の集まる所では、必ず演奏する人がいたものだった。

フォークブームの時には、岡林や拓郎がホルダーを使って伴奏を付けた。 
カントリーやブルースでは定番だし、リー・オスカーやトゥーツ・シールマンという
名手もいた。 でも日本人にとってのハーモニカの音色は、秋の夕暮れや冬の夜
に聴こえてくる、そこはかとなく侘しいスタンダードの数々だ。

小沢昭一は名前からも昭和の人だと直ぐに分かる。 昭和は64年間続いたから、
一桁とか戦前、戦中、戦後と分け、更に戦後は十年毎に分けて世代とした。
世代を超えて親しまれる音楽や芸能が、どんどん少なくなって行くような気がする。
忙しく変化する時代だ。 今年も残すところ2週間余りになった。

♪ ハーモニカが欲しかったんだよ どうしてか どうしても 欲しかったんだよ・・・


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