会長ブログblog

2011.10.01

卓袱台

今日から10月、災害に振り回された今年も最後の四半期を残すのみになった。

月の変わりと共に、昨日から西高東低の冬型の気圧配置になり時雨模様となった。
北海道の山には雪の予報が出ている。 刈り残された稲が空を眺めながら天気を
待っている。 越後堀之内では皇大神宮の御神送りの市がたち、賑わっている事だろう。

これからの季節は芋類や根菜類そして果物の収穫時期を迎え、食欲の秋となる。
里山には栗や胡桃そしてきのこ類が出て、春の山菜時季に並び森の恵みの時を迎える。
つくづく自然界は一年の季節の循環の中で、芽吹き、花が咲き、実を結ぶ良く出来た
形で廻っているし、人間もその仕組みの一つであることが分かる。

秋は里や山だけでなく、海の幸にも大きな恵みをもたらしてくれる。 
秋の魚は脂が載って美味い。 海と山は人間の力の及ばない世界で、自然から与えら
れるものをありがたくいただく。 東北の被災地の漁港にも、例年並みとはいかないが
秋刀魚や鯖の水揚げのニュースが流れる。

日本映画のドラマ作りの特徴の一つに、食事シーンが多いことがあげられる。
家族で囲む食卓は、かつては卓袱台という円形や四角形の折りたたみ式のテーブルを
出す事で、居間であり寝室でもあった、玄関のすぐ先の6畳間が食事時間には食卓にも
なった。 折りたたんで仕舞えるから部屋を目的に応じて使い分ける事が出来た。

卓袱台を囲む食事シーンはしばしば家族の団欒の舞台にもなったが、父親の威厳を
表す場所でもあった。 父権の表し方は「黙して語らず」式が多く、気に入らなければ
卓袱台をひっくり返してしまい、その日の夕食は台無しになり寂しく終わる。
寺内貫太郎や星一徹は何度となく、そうした暴挙に出た。

向田邦子や梶原一騎は、そうした小さな事件を通して家族を見てきた。
日本の家が大きくなり、一人ひとりがドアーで仕切られた部屋に住むようになって、
家族の繋がりが希薄になった。 国の人口も魚沼市の人口も減り続けているが、
世帯数だけは増え続けている。 

亡き父の ありし昔の声のごと 魚野川鳴る その音恋ひし  (柊二)


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