会長ブログblog

2011.05.14

春の足音

まわりの山々の広葉樹の若葉が芽吹き、薄っすらと新緑のベールで被われてきた。

晴れたら初夏の陽気だし、降っても春の暖かな雨で雪融けが一気に進む。
魚野川や破間川は、春の出水で水嵩を増し勢いよく流れる。 冬の間の渇水期に
たまった汚れを洗い流すように川幅いっぱいに濁った水が流れ下る。
雪国の春は空気の匂いも、水の表情もこの季節にしかない躍動感で溢れる。

春を待つ気持ちは自然界の全ての生命に宿る。 草花も、虫たちも、小鳥や冬眠から
ようやく起きだした熊や爬虫類まで、全ての生き物が巡る季節を楽しんでいる。
農作業もようやく始まり、苗代作りも本番を迎えている。 例年より遅れてはいたが
気が付けばいつも通りの春が巡ってきている。

今、被災地は深い悲しみと失意の底にあるが、自然の蘇生力を見るにつけ必ず復興
して以前より以上の地域を再生する日が近い事に希望を持ち続けてほしい。
昭和20年敗戦の時、当時東京をはじめ全国の主要都市は一面の焼け野原だった。
その後の驚異的な経済成長は日本人の精神力と能力の高さを示した。

とりわけ終戦からわずか19年後には東京オリンピックの開催にまで復興した事は
世界中の注目を集めた。 新幹線も高速道路もその時に新しく作られたインフラだし、
当時の技術の延長線上に今の日本がある。 振り返ってみれば何も無い所からの
出発が最先端の技術革新を生んだともいえる。

東北の沿岸の主要都市は津波で壊滅した。 この風景は終戦当時の日本にも似ているし、
2005年9月にアメリカのニューオーリンズを壊滅させた台風「カトリーナ」の被災状況とも
似ている。 市民による新たな復興案が都市計画の専門家を交えて議論され、生まれ
変わったニューオーリンズの町は、被災前よりずっと良い都市になった。

現在が悪い状態であればあるほど、これからは良い方向にしか向かわないと言う事 
楽あれば苦あり、苦あれば楽ありだ。 今日よりも良い明日がやって来るのは間違いない。
明日は、がんばろう日本・チャリティーコンサート「シャンソンの夕べ」が行われる。
被災地を思いながら出来得る小さな活動の輪が復興への道を拓いてゆく。

いやはてに うこん桜の かなしみの ちりそめぬれば 五月はきたる    白秋


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