会長ブログblog

2010.02.20

春を待ちわびて

昨日は二十四節季の雨水、雪から雨に変わる春を待つ時候となった。

今冬は雪も降ったが、気温も低かった。 それでも子供の時分の寒さとは随分違う。
家の断熱と暖房が良くなり、着ている洋服も薄くて暖かな素材が開発されたおかげで
昔に比べて格段に暖かくなった。 便利で快適な生活になり、人間が弱くなった。

花粉症、アトピー、アレルギーなど、寒くて不衛生だった時代にはあまり聞かなかった症状が
今ではあたり前になった。 つくづく物事には表と裏、両面があり、良いこと悪いことと言った
単純な事から、話す側と聞く側、見る側と見られる側、選ぶ側と選ばれる側、こちら側と
あちら側など立ち位置で相反する関係となる。

世の中で良いことと思っていたことが、実はあまり良くない結果を生むことも有る。
例えば、冬の雪が少なければ生活しやすく良いことと思うが、スキー場は言うに及ばず、
雪が降る前提で成り立つ除雪作業や、様ざまな経済活動にも悪い影響を与える。 
更に、夏には水不足により農作物にも多大な影響が出るし、水力発電のダムも能力が発揮
できなくなる。 自然現象の降雪量一つとっても、両面有る事がわかる。

表日本、裏日本という言い方が悪いといって、随分前から太平洋側、日本海側と呼ぶ様に
なったが、表が上位で裏が下位ということは無い。 私は裏日本という言い方がスキだ。
裏と表は何にでもある。 表があるから裏もある。 表通りに裏通り。 表表紙に裏表紙。
表玄関に裏玄関。 なんとなく裏側の方に真実が潜んでいそうな感じがする。
居酒屋やバーは、たいてい裏通りか横町通りにあるのも、そう思う原因かも知れない。

ジョニ・ミッチェルの名曲、ジュディー・コリンズの歌でヒットした「青春の光と影」。
空に浮かぶ雲や恋愛や人生にはいつも両面があり、いまだ何も理解してない・・・、と歌った。
コール・ポーターのスタンダードナンバー、「ナイト・アンド・デイ」。
クロード・ルルーシュが撮り、フランシス・レイの音楽でヒットした「男と女」。
いずれもが、対照をテーマにしたタイトルが付けられている。

寒くて暗い冬の後には、必ず暖かくて明るい春がやってくる。
冬が厳しければ厳しいほど、春のありがたさが増幅される。
小出郷文化会館の大ホールに懸かる緞帳、たびたび魚沼を訪れた東京藝術大学の
堀越保二先生の作品、テーマは「春泥」。
春の雪解け水が勢いよく、川を濁して流れ出てゆく様子を画き表した。
堀越先生にとって雪国魚沼の一番印象に残るシーンが、この絵に表されている。

人生は ただ一問の 質問に すぎぬと書けば 二月のかもめ (修司)


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